NPO団体・DiODEN 代表のyukiです
NPO内の様々なメンバーで話し合い、武田薬品工業株式会社 が主催する「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」に賛同することを決定しました。プロジェクトの趣旨は以下の通りです
- ニューロダイバーシティの概念の啓発を通して、非定型発達(発達障害)の当事者を含む神経学的な多様性を優劣で評価するのではなく、多様性・職場のかけがえのない一部として、尊重し包括する風土を醸成すること
- 最終的に、多様な特性に沿った多様な環境や働き方の選択肢を、新しい標準として社会実装していくこと
賛同の背景には、NPOの活動を通して実感した問題意識があります
職場での深刻な生きづらさ
以下のグラフのように、自閉スペクトラム当事者の63%・ADHD当事者の80%が、(障害者雇用や福祉的就労ではない)一般雇用で働いています。
そしてその背景には、私達が度々指摘してきたように、「発達障害者の障害者雇用」が、平均月給・約13 万円という低い給与水準にあることや、多くの場合低スキルの単純労働を中心としていること(参考:ASD当事者の70%が無職 / 著しく能力以下の職に従事)、少数派の発達特性を「欠陥」として捉える対応を含む根深い偏見や差別が影響していると思われます。
さらに、職場での無理解や偏見などを理由に、判明しているだけでも、一般雇用で働く当事者の約4割がカミングアウトをできずにいます(出典)。
また、特に高機能・成人の当事者の一部は
- 高確率でいじめのターゲットになる
- 福祉支援を受けづらいケースがある(支援の対象外・ニーズに合う支援がない・「障害」と規定されることへの抵抗など)
など、特有の問題も想定されます。
「特別な対応」ではなく、誰もがアクセスできるものとして
こうした状況を踏まえると、特に
- 初見では特性の見分けがつきにくい当事者
- 特性の程度が診断ラインの前後にある当事者(発達障害グレーゾーン)
を含めて、あらゆる発達特性の人にとって生きづらさのない社会を実現するために、
「診断書」や「障害者手帳」がなくても
- あらゆる企業の職場
- あらゆる学校での義務教育
において、神経学的な多様性(ニューロダイバーシティ)に応じた、働き方・職場環境や面接などの選択肢を増やし、新しい「あたりまえ」を作っていくことは重要です
そうした理由から、DiODENは「職場の環境の選択肢を増やす」ということを最重要課題の一つと認識して、事業を進めています
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